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3つの働き方 |
同じ業種、同じ組織で働いていても人の働き方には3種類あります。どの場合も対価を得るための活動ですが、人によって主体が変わります。
単に対価を得るための労働。 成長するためのキャリアと考える。 天職と見なす。
<単に対価を得るための労働>としている人は、生計を立てるための手段にすぎず、喜びは労働時間以外にあり、職場を離れた後にあります。つまり職場では対価以外の見返りを求めていない人たちですが、それでも自尊心にはこだわる場合が多いため、次に言う「 成長するためのキャリアと考える人」と見分けがつきにくい場合があるものの、この種の人にはチャンスを切り開こうという気がないので、チャレンジ精神がほとんど見られません。
<成長するためのキャリア>と見なす人は、対価を得るために労働する人たちと比べ、より多くの時間とエネルギーを主体的に注ぎます。彼らは自身の行動によってチャンスを切り開こうとします。
チャンスとは、自尊心、昇進、権力などを対象にしていて個人によって違いますが、チャンスを得るためのチャレンジを受け入れる傾向があります。マネジャーに適していることが多いのが特長です。
天職と見なす人は、仕事を通して得られる喜び、目的となる社会的な意義を自ら発見して、それを生涯の課題としてもいいと考えて行動する人たちです。出世や金銭的な報酬を目的とせず、自分が発見した目的のために働くことを楽しみます。ハードな日常を苦にせず、結果以上に目的達成のプロセスをロマンとして受け入れることができる人たちです。そのため仕事でフロー状態(我を忘れて没頭している状態)に達していることが多くリーダーに適している人たちです。
以上3通りの働き方から言えることは
ワーカー以上には適さない人(単に対価を得るための労働としか考えない人) マネジャーに適する人(成長するためのキャリアと考えている人) マネジャー以上、リーダーに適する人(天職と見なす人)
3種類のタイプがいるということです。
注意すべきは組織内の役職です。ヘッドハンティングを別にすれば、絶対的な能力、タイプで役職が決まっているわけではなく、相対的なものである場合が多いからです。
したがって 天職と見なす人がいなくても、 単に対価を得るための労働としか考えない人がリーダー的な役職につく場合もあります。BよりはAの方がマシだという理由で決まってしまう場合があります。そうなると活気がなくなるのは当然です。C社では戦力外の人材と見なされる人でもD社で働くと管理者になる場合もあります。この逆もあります。
社内事情はそれで収まって一応の組織図も書けますが、市場はそういうわけにはいかないものです。 「天職と見なす人」 VS「対価を得るための労働としか考えない人」の競争ということが日常的に起こっています。クレドに於いてステークホルダーのひとつに競争相手を置くのもそういう背景があるからです。
ここに組織が変わる(成長する)には人が変わる(成長する)しかないという理由があります。
個人的な理由が主体的である「やりがい」に任せていては組織は活性化しません。働きやすいと感じている人が多いのでヨシとせずに、働きがいがあると感じている人が多い状態にしないと組織は成長しない理由があります。
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【ワークライフ・バランス研究】信頼関係 |
信頼関係
働きがいの本体は、「信頼関係の高い組織文化(組織風土)」です。組織力は従業員の意欲の総和ですが、それは「働きがいのある会社」からもたらされるものです。たまたまそこにいる従業員の意欲の総和が高い場合、優れた業績を残せることがありますが、長続きすることはありません。人は必ず老いて行くし、ムラ、ムリ、ムダがあると、人が育つ仕組みは作れません。 カリスマと言われる人がいても同じです。
つまり個人任せには限界があるということです。「一生懸命頑張ります」というのと「組織の目的を達成する」のは同じように思えますが全く別物です。感情的なトップの元では面倒な仕組みを構築するより、「一生懸命頑張っている」ほうがシンプルで分かりやすく手っ取り早いように見えるので、「一生懸命頑張ります」を重宝してしまいます。
この場合、その時はそういう気分だったで終焉を迎えます。あるいは上がったり下がったりしながら、業績低迷を経済情勢や競争相手など他のせいにすることになります。
つまり信頼関係の有無に関係なく、個人的なやりがいだけに任せている結末なのです。やりがいとは個人的に獲得できるもので、その中味は使命感、達成感、成長感、充実感などどれをとっても個人的なものばかりです。一方働きがいは共有した目的、連帯感、価値観などどれも信頼関係によって獲得できるものです。
働きがい、やりがい、生きがいは、全く別のものです。
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【ワークライフ・バランス研究】脱・寄生意識 |
脱・寄生意識
寄生意識が帰属意識と混同されやすいので注意したいものです。
帰属意識が強いと、やりがいは働きがいにステップアップしていきますが、寄生意識は働きがいにステップアップすることはなく、組織に貢献するより働きやすさにこだわります。やる気があるような会話にまぎれてステップダウンしてしまうのです。これでは組織にとっても損失ですが、個人にとっても潜在能力を失ってしまう危険があり、長い目で見ると大きなダメージになります。
言ってることは一見組織の繁栄のためのように見えることがあるので注意したいものです。その分別がつくスキルを持つためにも「働きがい」に対する認識、理解を深めることが大切です。
会社としては寄生意識の強い社員が多いと混迷を深めます。寄生意識の強い社員を減らすことが、働きがいのある会社にする上で必要条件になります。
「働きやすさ×働きがい」の追求が必要で、それを構成する条件を満たすようにすることが必要です。
リーダー、マネジャーはその点を考慮して、働きがいを感じられる部下の自立を支援することが大事なのです。
そのためには 1)働きがいのある職場にしなければならない。 2)働きがいを感じ取れる従業員に育てる必要がある。 3)社会的にどうのような貢献ができるのか、考え、明文化する 4)健全で健康的な社会性に富んだ人物に導くことを恒常的に行う。
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【ワークライフ・バランス研究】働きがい |
組織図を書き換えれば組織が変わったように思う人がいますが、大いなる錯覚でしかありません。人が変わってこそ組織は変わります。あなたは自分の働く会社がどのように見られているか本当に知っていますか。
誰も言い難いことは言いません。 怒りに任せたユーザなら別ですが客観的に判断できる冷静な人から「あなたの会社で働く人たちはやる気がないですね」と聞くことは滅多にありません。 金銭的なメリットを抜きにして、どの程度ステークホルダー(利害関係者)がやって来て面会を求めるでしょう。未来を共有したい欲求であるとか、これから起こることにどう対処するのか意見交換したいとかです。答えは明白です。価値を創造するエネルギーが溢れていたら後は絶ちません。そしてあなたもまたステークホルダーと交わることで人間力を高めていきます。
こういう人が多い程組織は活気づくもので、働きがいもあるものです。働きがいと、従業員満足と同じように考えられがちですが、全く別のものです。満足度の向上は環境の改善、福利厚生、給与などをあげるとアップしますが、働きがいはそうはいきません。たとえば社会に貢献している意識が強いと働きがいはあがりモチベーションはあがります。
社会に貢献している意識という点に絞れば、公務員はその典型です。しかし必ずしも働きがいを感じ、モチベーションが高いとは言えない人も少なくありません。社会に貢献している意識の在り方が大切であり、それには自己研鑽だけでなく、適切な情報開示の必要性と、そこにある目的への共感、目的意識の共有が不可欠であることが分かります。つまり連帯する帰属意識とその原点である目的の社会性が非常に重要なのです。
たとえば孤独な研究者であっても、帰属する場所、たとえば一般社会の人々の喜ぶ顔があれば、見た目としてひとりで作業しているだけで、気持ちは無数の人々と連帯しているので、その日常は決して孤独ではありません。逆に小さな組織の中だけで共有できる価値観に留まるなら、社会的に孤立しているので、働きがいを得ることは困難になることも少なくないのです。
働きがいを組織の支柱に育てあげていくのが、リーダー、マネジャーの大きな役割です。なぜなら働きがいこそモチベーションを高める動機であり、人を育てる条件だからです。井の中の蛙たちの世界では人は育たないのです。
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【ワーク・ライフ・バランス】幸福な暮らし研究/働きやすさ |
人類史上、例を見ない早さで変化する社会で幸福な暮らし方を実現する理想的なワーク・ライフ・バランスの研究を進めるために、働きやすさ、やりがい、働きがい、従業員満足、生きがい、について説明していきましょう。 その前に利益しか頭にない人、日夜利益追求に努力をしているのでマネジメントを遂行していると思い込んでいる人のために前置きを付け加えておきます。
前置き
当たり前ですが、「顧客はあなたのために存在していない」。あなたが顧客に貢献することで利益が得られるのです。その利益の一部があなたの生活を支えています。これは誰が何と言おうと明白な事実ですが、案外忘れがちなことです。 もしそうでないと主張するなら、あなたは犯罪者以外の何ものでもありません。これは誰でも知っていることですが、時々意識するのではなく、いつも意識しておくことで実行している人は少ないものです。

働きやすさ
働きやすさは、個人的なもので、それでもって動機付けになることはありません。
知られているように、ハーズバーグが提唱した動機付けモデルには条件が満たされるとモチベーションがあがる動機付け要因とモチベーションはアップしないが条件が満たされないと不満になる衛生要因とがあります。
働きやすさは衛生要因が満たされることで、安心感、帰属感、納得感の集合した感情にすぎません。 具体的には安定した雇用状態、就労条件、人間関係、安定したコミュニケーションなど基本的な要因が満たされていることです。
誰でも自分の能力を発揮したいと思っているので、これらを充実することは、会社にも個人にも良いことで、会社がその充実に心を配ること、目標にすることは個人の能力を発揮するためにも素晴らしいことです。
しかしこの充実を目標にしたからといって、あるいは実現したからといって意欲が高まることはありません。これが衛生要因の限界です。 これをもって経営努力しているとは言い難く、本来の経営努力をするための地均しにすぎません。モチベーションアップには動機付け要因の改善が必要になります。
働きやすさは満足度を示す言葉です。つまり働きやすいとは不平が少ないということに他なりません。
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